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第1節 総長挨拶・副総長挨拶
第2節 基調講演
第3節 パネルディスカッション |
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第1節 総長挨拶・副総長挨拶
束村 それでは、開始の時間になりましたので始めたいと思います。
本日は非常にお忙しいところ、たくさんの方々にこの名古屋大学男女共同参画社会推進シンポジウム-男女共同参画社会推進における産学官連携の意義と可能性─にお越しいただきましてまことにありがとうございます。私は、本日総合司会を努めさせていただきます、名古屋大学大学院生命農学研究科助教授の、名古屋大学男女共同参画室員の束村博子でございます。本日はどうぞよろしくお願い致します。
簡単に、本日のシンポジウムの概要を説明させていただきますと、本日は、総長、副総長の挨拶に続きまして、13時50分から基調講演をいただきます。それから若干の休憩を挟みまして、15時からパネルディスカッションを進めていきたいと思います。
それでは、開会にあたりまして、松尾総長よりご挨拶をいただきたいと存じます。松尾総長、よろしくおねがいいたします。
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松尾総長 名古屋大学の松尾でございます。
まずは本学の責任者といたしまして、本日ご参会いただきました皆様に対しまして、御礼を申し上げます。特に大変お忙しい中、本日、基調講演をお引き受け下さいました、只今ご紹介もありました内閣府男女共同参画局長の名取はにわさんにおかれましては、ようこそお出で頂きました。またこの後、パネルディスカッションでパネリストをお務め頂ける先生方に対しましても、心から御礼を申し上げます。
さて、人間の能力として、男女に全く差がないということは言うまでもないことでございます。これは過去の歴史とか、特に最近の世界の情勢から見ましても、学術・政治・経済、その他いかなる分野を見てもこれは明々白々というところであります。それにもかかわらず、体力が強いということで男性が自らに都合の良い制度とか論理を積み上げまして、女性に不利な社会を長年にわたって強制してきたということもまた事実でございます。こういう状況を抜本的に変えていかなければ、人権上の問題はもとよりでございますが、社会全体の活力を保持していくということは到底不可能なことでございます。
本日は私の挨拶の後に、本学で男女共同参画について担当しております伊藤副総長から、この問題に関する本学の計画等について話があると思いますので、この点については、私は大局的にしか触れないこととさせていただきます。
さて、我が国におきましても先に述べました世界の流れの中で、遅まきながら内閣府男女共同参画会議がおかれまして、国の最重要政策の一つとして取り組みが開始されました。このような会議とか、名取さんが局長でいらっしゃる男女共同参画局というものが不用になることこそ好ましいと思います。将来はそれを信じておりますが、これはしかし、言うほどにたやすいことではございません。そうではありますが、名取局長等のご指導もありまして、各省庁或いは国大協の現場等々にありましては、着実に動きが始まっております。
少しだけ振り返っておきたいと思いますが、何と言いましても、この問題の背景といたしましては、平成11年の6月、男女共同参画社会基本法が制定されまして、続いて男女共同参画基本計画、基本法に基づいて基本計画の策定がありました。遅ればせながらこれが物事の出発点として、大変大きな役割を果たしたと思っております。
例えば国立大学協会が、男女共同参画を推進するための報告書というものを発表いたしましたけれども、これは12年の5月でありますが、その中で2010年までに女性教官の比率を20%にするという目標を提言して、取りまとめております。このように国レベルでの確実な建議、実行をいたしまして、各現場でも相次いでいろんな行動が起こってきております。名大はこの問題に関しまして、全国の大学に先駆けて取り組んでまいりました。ここ4、5
年を振り返って見ても、折りに触れまして、教職員の研修などでこれを取り上げると共に、ただ今申しました伊藤副総長とか、増田知子総長補佐、現在は金井篤子総長補佐、等々を中心にいろんな活動をしております。
若干触れさせていただきますと、平成12年の9月に男女共同参画に関する検討委員会を設置いたしまして、10月にはワーキンググループを作っておりますし、13年の3月には共同参画を推進するための「提言」を策定しております。それに基づきまして、翌年の3月には「具体的推進方策」というものを作りまして、さらに、本年の1月には名古屋大学男女共同参画室、これは国立大学では初めてでありますが、そういう形で男女共同参画室を設置いたしまして、さらには「推進計画」を策定したのはこの3月でありますし、さらに専門委員会を作ったのが4月であり、矢継ぎ早に手をつけてまいりました。ホームページ等を通していろんな情報発信もやっておりますが、これも学内外から大変高い評価を受けているところでございます。
また、3年にわたりましてアンケート調査を行うとか、部局長ヒアリングも実施しておりますし、さらに教職員とか学生達等とも意見交換も行っております。執行部といたしましても、各部局の取り組み状況とかその進捗等をかなり正確に把握しているつもりでございます。例えば、非常に感じますのは、教職員の意識改革が大幅に進んでいるということであります。定量的には女性教官は、2、3日前に報告を受けたところでは、まだ10.2%で、まだまだこれからでございますが、女性の事務役職者ともども確実に増加しておりますし、ポジティブな採用が目に見える形で現れていったのではないかと考えております。
さらに、セクハラとかアカハラの問題ですね、この対策の問題も男女共同参画の問題と深く関係していることもよく承知をしております。どこにも負けない制度設計を行っていくことが大切であると考えておりまして、例えばセクシャルハラスメント相談所等も設置しております。さらには、皆さんよくご承知の中期目標、中期計画、名古屋大学のまだ素案の段階でございますが、先般、9月末〆切ということですので、文部科学省に提出したところですけれども、この中に男女共同参画の項目を記載いたしまして、その推進を図って、女性教職員の比率を高めていく、さらには、今のセクハラ等の相談業務、対策等に関する環境整備を充実していくということを謳っております。
シンポジウムに関しましても、昨年14年の9月、日本の現状と課題、名古屋大学の現状と課題ということで、シンポジウムを開催したところでございますが、本日、何と言いましても特徴的なことが、男女共同参画を推進するために産学官共同を進めていくこと、産学官の連携の意義と可能性、というところが一つのポイントでありまして、あらゆる分野で男女共同参画社会の形成を期待して或いはまた産学官連携して、隅々まで行き渡るような男女共同参画の実現を目指して行きたいと思っております。併せてですね、この産学官連携フォーラムの立ち上げも企画しているところでございます。
しかし色々申し上げましたけれども、今後はこういうことが形の上だけで終わるのではなくてですね、私は決してそういうことはないと信じておりますが、実質を伴った形でしかも進化性をもって進んでいくということが大事ではないかと考えております。例えば各部局の意思決定、女性教官の選考とかですね、或いは、事務職員、一般職員の意向表示がどの程度実質的に反映されているか、というようなことを注意深く見守って、実質を一層高めていく努力が必要でありますし、これは本学として一生懸命やっていくつもりでございます。
最後になりますが、皆さんのお手元にパンフレットが配ってあるでしょうか。育児休業をとりたいという男性は、2,3日前の新聞にでていましたが、十人に7人だそうであります。しかしながら、実際にそれを取得した男性は千人に3人ということだそうであります。そのパンフレットに男性と子供さんが写っておりますが、その男性は田村哲樹さん、本学の法学研究科の助教授で男女共同参画室の室員であります。何故それを紹介するかと言いますと、本学で育児休業を取得した男性の第1号ということで、ご紹介申し上げました。
本日は良い会にしてくださるよう皆さんのご協力をお願いし、私のご挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。
束村松尾 総長、ありがとうございました。それでは引き続きまして、男女共同参画担当の伊藤副総長よりご挨拶させていただきます。よろしくお願いいたします。
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伊藤副総長 本学の男女共同参画を担当しております副総長の伊藤でございます。本日、男女共同参画社会
推進シンポジウムを開催させていただきましたところ、学内外からこのように多くの皆様方にお集まりをいただき、改めてこの問題に対する関心の高さを痛感いたしますとともに、本シンポジウムにご参加いただいたことに心から御礼を申し上げます。
本日は、名取内閣府男女共同参画局長に基調講演をお願いしております。さらに、愛知県、名古屋市、愛知経営者協会、それから連合愛知からお越しをいただき、本学の皆様とパネルディスカッションが行われることにたいへん期待をし、そして御礼を申し上げるところでございます。
私からは男女共同参画に関します本学の最近の取り組みについてご説明をし、ご挨拶に代えさせていただきます。総長のお話の中にも出てきましたように、なんといっても大きいのは国立大学で初めてとなります「男女共同参画室」を平成15年1月に設置をしたということでございます。
それより前になりますが、総長の強いご意思で男女共同参画担当の総長補佐が置かれました。このことも本学にとりましてはきわめて大きなことでございます。男女共同参画室がスムーズに立ち上がったのも、実はこの総長補佐が置かれたということときわめて深い関係がございます。
先ほど総長のお言葉にもございましたように、本学には「男女共同参画推進専門委員会」が全学的な組織として置かれておりまして、男女共同参画室の企画を着実に実施することになっています。それとともに全学の男女共同参画に関する問題を調査、分析し、男女共同参画室の企画に位置づける、このような動きをしているところでございます。いずれにしましても男女共同参画室は、本学の男女共同参画推進のヘッドクォーターという役割を担っております。
私どもでは、男女共同参画室と男女共同参画推進専門委員会とが手を携え、2003年度、5つの重点項目を挙げて、今後着実にその実現に向かおうとしております。時間の関係もございますので、簡単にその5つについてご紹介を申し上げ、本学の取り組みの一端をご理解たまわればと考えております。
重点項目の第1が、「男女共同参画社会に寄与する教育・研究活動の拡充」でございます。その一つが教育における問題でございまして、全学教育カリキュラムの中に女性学、ジェンダー関連科目を開設することとしています。その開設につきましては、すでに計画段階を過ぎ、来年度から実施する運びになっております。もう一つは、男女共同参画に寄与する研究活動の奨励でございます。これにつきましても研究特別プロジェクトチームが組織され、全学の中で大きな役割を果たそうとしております。
重点項目の第2は、「女性教官増加のための教官公募システムの確立とポジティブ・アクション」でございます。今、総長のお言葉にもございますように2010年までの女性教官比率の達成目標、これは国大協では20%となっておりますが、本学としての目標設定を着実に行う必要がございます。2003年度におきましてはその最初の年度としての目標設定をしていかなければなりません。そのための準備を着実に進めているところでございます。
そういうこともございまして、昨年に引き続き部局長ヒアリングを実施し、本学の目標設定に役立てたいと考えているところでございます。昨年、および今年度とヒアリングを実施した感想を申し上げますと、本学におきますこの課題は、着実に部局に浸透していることをはっきりと申し上げることができると思います。もちろん部局による差異はございますが、今後着実な努力によって本学におきますこの問題は、部局も含めて改善していくに違いないと確信しております。
重点項目の3は、女性職員の昇進について、名古屋大学として積極的な対応を取りたいということでございます。
それから重点項目の第4は、なんと申しましても女性研究者が活動しやすい環境を形成することです。そのうちで、学内保育所等の設置の問題、すなわち育児環境の整備という問題、および介護支援という問題を積極的に取り上げてまいりました。育児環境の整備としては、先ほど申し上げましたように学内保育所設置に向けた検討を具体的に進めるとともに、介護につきましては医学部保健学科のご協力を得て、情報提供についてはすでに行っているところでございます。
重点項目の第5でございますが、私どもはこの男女共同参画社会の実現に向けては、大学に留まらず、産、学、官の連携がきわめて重要であるという認識を持っております。そんなこともございまして、本日のシンポジウムを契機としまして、産学官の連携のフォーラムが形成できることを強く念願しているところでございます。以上、簡単ではございますが、私からのあいさつとさせていただきます。どうもありがとうございました。
束村伊藤 先生、ありがとうございました。それでは、続きまして、基調講演に移りたいと思います。講演者は、内閣府男女共同参画局の名取はにわ局長です。名取先生のご経歴については、パンフレットの2ページに掲載がされておりますので、詳しくはご説明をさしあげませんが、特に本年8月からは内閣府の男女共同参画局長として日本における男女共同参画推進の要として日夜ご活躍されていらっしゃいます。
実は名取先生には、昨年度の男女共同参画シンポジウムでも講演をいただきまして、非常にお世話になっております。名古屋大学の男女共同参画推進にひとかたならぬご協力をいただいておりますし、またその成り行きをずっと見守っていただいていると思っています。昨年度は文部科学省のお立場からお話をいただきましたけれども、今回は内閣府男女共同参画局長としてのお立場からご講演をしていただくことになりました。「女性のチャレンジ支援について~地域におけるチャレンジネットワーク~」というタイトルでご講演をいただきます。名取先生、よろしくお願いいたします。 |
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